早期胃がんの観察の要点
胃がん疑う病変を観察する際はどのような所見に注意したら良いのでしょうか。
胃がんを観察する際の要点をまとめてみました。
形状、色調
*隆起型はほとんどが分化癌(未分化癌は約3%)
*陥凹型は分化型、未分化型の両方の形態を呈する
*20mm以下のO-1 型癌の深達度は92%がM癌
*陥凹型の分化型癌 →発赤調、辺縁は極状の蚕食像変化を呈する
*陥凹型の未分化癌 →褪色町、辺縁は断崖状、鋸歯状の蚕食像
台形挙上
胃壁を強く伸展させた時のみにみとめられるSM浸潤部の隆起と周囲粘膜が挙上する現象。
観察の際には以下の3条件が必須
① 色素観察 →インジゴカルミン染色を行う
②胃壁強進展下観察 →空気で胃を十分ふくらませる
③斜め〜側方から観察
M-SM1とSM2の鑑別診断に重要
SM1 SM垂直浸潤距離<500μm
SM2 SM垂直浸潤距離≧500μm
*感度 92.0% (87.0-97.0)
*特異度 97.7% (96.6-98.7)
*陽性的中率 85.9% (79.7-92.1)
*陰性的中率 98.7 % (97.9-99.5)
*正診率 96.8% (95.8-98.1)
Nagahama T.,Otsu K ., et al. : United Eur.Gastroenterol.J.2 (5S);A481,2014
観察時のポイント
以下のような点に注意してレポートを作成するようにしましょう。
①病変の場所: (背景粘膜に萎縮があるのかどうか)
②大きさ: mm
③肉眼型: (色調や病変境界の性状( 棘状変化)、陥凹か隆起か)
④組織型: (悪性であれば未分化型か分化型か、棘状変化があれば分化型)
⑤潰瘍合併: (有or無(ひだの集中を見る))
⑥深達度: (台状挙上所見有無、M-SM1 or SM2)最初から正確に所見をとることは難しいかもしれませんが、早期胃がんを上記のような点に意識して観察し、プレゼンテーションできるようになりましょう。
コメント