急性膵炎に対する補液量 

胆膵

急性すい炎に対する補液量 多いほうがいい?

  • Aggressive or Moderate Fluid Resuscitation in Acute Pancreatitis 

急性膵炎は初期輸液が大切と研修医の時から上級医に叩き込まれてきた。

 救急当直で診察したら朝まで3Lぐらい入れて、2−3日は尿量見ながらしっかり補液をするというのが、これまでの診療スタイルでしたが、その常識をかえなければいけないかもしれません。

今回NEJMに大量補液群と中等量補液群を比較した論文があったのでまとめてみました。

引用元:N Engl J Med 2022; 387:2198-2200 DOI: 10.1056/NEJMc2213440

試験;ランダム化比較試験

P:急性すい炎

I:Aggressive群 20ml/kgボーラス後、3ml/kg/h

C:Moderate 群 10ml/kgボーラス後 1.5ml/kg/h

O:

Primary outcome:moderately severe or severe pancreatitis  への進展

Safety outcome: fluid overload

サンプルサイズ数 744名 が予定され、248名の時点で中間解析が予定された。

結果:中間解析では、合計249名の患者を対象とした。中等度または重度の膵炎の発生率に有意な差は認められなかったが,安全性に関するアウトカムに群間差があったため,試験は中止された(Agressive群22.1%,Moderate群17.3%,調整相対リスク1.30,95%信頼区間[CI], 0.78~2.18,P=0.32 )

体液過剰は、Agressive群の20.5%、Moderate群の6.3%で発現した(調整相対リスク、2.85、95%CI、1.36~5.94、P=0.004)。入院期間の中央値は、Agressive群では6日(四分位範囲4~8)、Moderate群では5日(四分位範囲3~7)であった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<私見>

Agressiveに補液を行った群で体液過剰の所見が出現し、試験は中止となっている。

これはこれまでのガイドラインで進められていた大量補液と相反する報告であり、今後の治療について考えさせられる内容だった。

 実際の臨床で、膵炎の治療をすると体重60kgの患者さんに1800mlのボーラス投与を行い180ml/hの補液を行うことはあまり違和感ないが、同じ体重でも900mlのボーラス投与と90ml/の補液だと少なく感じてしまう。

 たしかに大量補液して、ACS(Abdominal compartment syndrome)とかを起こす患者さんもいることを考えると輸液のやりすぎには気をつけないと行けない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました